アジアの安全保障2009-2010-北朝鮮‐高まる核の懸念-
当研究所は、1979年より年報『アジアの安全保障』の刊行を通じ、南アジアおよび中央アジアを含むアジア太平洋地域各国の政治・経済・軍事の1年間の動きに関する分析に加え、中長期的な情勢を展望しています。
今年版では、世界金融・経済危機、北朝鮮の核・ミサイル問題、中国新疆における民族問題、東南アジア諸国の軍の近代化を「焦点」として取り上げて詳細な分析を行う他、国・地域別の章では日本、アメリカ、ロシア、中国、朝鮮半島等のそれぞれについて内政、経済、対外政策、軍事の点から最近の動きを整理・分析しています。
また、後半の三章では地域協力、軍備管理、テロリズム・国際犯罪という視点から地域横断的に分析を加えています。これらの分析をバックボーンとして冒頭では2010年にかけての展望を論じています。ここでは米新政権の発足、存在感を増す中国の動向、日本政治の行方などに注目しています。
内容の一例を紹介しますと、「焦点」で取り上げられている中国新疆における民族問題については、新疆ウイグル自治区の発足に至る歴史的背景や、同地区をめぐる国際情勢、現地の治安情勢などが述べられており、本年7月5日に起きたウイグル暴動の理解にきわめて有益です。
各国・地域の章では、相次いだ政権交替の経緯・展望や政策転換の影響に重点を置いています。日本の「ねじれ国会」と麻生自民党政権の行方。米オバマ民主党政権の発足と展望。韓国と台湾の外交政策の大きな転換などです。北朝鮮は金正日総書記の健康異変などにより、不透明さを増しています。この他、グルジア問題などで緊張を抱えるロシア。北京オリンピックを開催するなど国際的存在感を増しながらも、依然として急ピッチな軍備増強を続けている中国。このような情勢の中、総選挙を控えた後の我が国の外交政策のあり様が注目されます。
是非『アジアの安全保障2009-2010』を安全保障のみならずアジア地域について考える上での羅針盤としてご活用ください。
【目次】
第1部 展望と焦点
- 西原 正
- 【展 望】「安全保障環境はより厳しい局面に」
- 田所 昌幸
- 【焦点1】「力関係を変える世界金融・経済危機」
- 平岩 俊司
- 【焦点2】「北朝鮮のミサイル発射実験と今後の6者協議」
- 村井 友秀
- 【焦点3】「中国における少数民族の独立運動-トルコ民族とイスラム教-」
- 江口 博保
- 【焦点4】「兵器の近代化進む東南アジア諸国」
第2部 アジアの安全保障環境(2008年4月~2009年3月)
- 第1章 日本
- 第2章 アメリカ
- 第3章 ロシア
- 第4章 中国
- 第5章 朝鮮半島
- 第6章 東南アジア
- 第7章 南アジア
- 第8章 中央アジア
- 第9章 南西太平洋
- 第10章 地域協力
- 第11章 軍備管理
- 第12章 テロリズム・国際犯罪
- 略語表
- 年表(2008年4月~2009年3月)
- 執筆協力者一覧
- あとがき
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