アジアの安全保障2008-2009-「中国発」の衝撃‐その余波は?-
当研究所は、1979年より年報『アジアの安全保障』の刊行を通じ、南アジアおよび中央アジアを含むアジア太平洋地域各国の政治・経済・軍事の1年間の動きに関する分析に加え、中長期的な情勢を展望しています。
今年版では、チベット問題、気候変動、太平洋諸国の海軍力伸張を「焦点」として取り上げて詳細な分析を行う他、国・地域別の章では日本、アメリカ、ロシア、中国、朝鮮半島等のそれぞれについて内政、経済、対外政策、軍事の点から最近の動きを整理・分析しています。
また、後半の三章では地域協力、軍備管理、テロリズム・国際犯罪という視点から地域横断的に分析を加えています。これらの分析をバックボーンとして冒頭では2009年にかけての展望を論じています。
ここでは大国間の摩擦要因に加え、核拡散、テロの問題などに注目しています。
内容の一例を紹介しますと、「焦点」で取り上げられるチベット問題では、多民族を抱える中国が国家統合のために中華アイデンティティを強調するあまり民族別の自治区制度が形骸化し、鬱積した不満がチベット暴動の背景になっていることを指摘、こうした根深い問題を抱え、かつ四川大地震で国際社会の注目がそれる中、今後中国当局がいっそう強硬な姿勢をとることが懸念されます。
各国・地域の章では、相次いだ政権交替の経緯と影響に重点を置いています。日本の「ねじれ国会」と福田首相の「共鳴外交」、ブッシュ米政権のレームダック化、ロシアの二頭体制、韓国、オーストラリアなど政権交代とそれによる激動が続く中、中国でも胡錦濤政権が二期目に入り、北朝鮮も側近の交代が行われ、2009年にかけて新たな展開が予想されます。こうした中、洞爺湖G8サミットを主催する日本には難しい舵取りが要求されています。
是非『アジアの安全保障2008-2009』を安全保障のみならずアジア地域について考える上での羅針盤としてご活用ください。
【目次】
刊行30年にあたって
第1部 展望と焦点
- 西原 正
- 【展 望】「大国間協調はやや低調傾向」・「核拡散の動きはとまらない」ほか
- 佐々木 智弘
- 【焦点1】「不安定さを増す中国・チベット情勢」
- 中西 寛
- 【焦点2】「気候変動も国際安全保障上の脅威に
- 山内 敏秀
- 【焦点3】「太平洋諸国の海軍力伸長:協調の陰の競合」
第2部 アジアの安全保障環境(2007年4月~2008年3月)
- 第1章 日本
- 第2章 アメリカ
- 第3章 ロシア
- 第4章 中国
- 第5章 朝鮮半島
- 第6章 東南アジア
- 第7章 南アジア
- 第8章 中央アジア
- 第9章 南西太平洋
- 第10章 地域協力
- 第11章 軍備管理
- 第12章 テロリズム・国際犯罪
- 略語表
- 年表(2007年4月~2008年3月)
- 執筆協力者一覧
- あとがき
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