2018年10月18日(木)、当研究所はグランドヒル市ヶ谷において研究所創立40周年記念シンポジウムとレセプションを開催しました。
●シンポジウム
まず、開演の挨拶では、理事長の西原正から弊研究所が行った政策提言「新たな安全保障戦略―高まる脅威と不透明な国際環境に立ち向かう」の概要について説明がありました。 次に田中明彦氏が政策提言と同じテーマで基調講演を行いました。田中氏は、「冷戦終結から現在に至るまでの国際情勢の変化について言及し、権威主義体制のもとで経済成長を続ける中国と米国・日本などの民主主義・自由主義体制の国家間で新しい冷戦が始まっているという覚悟を持つべきである。」という見解を述べました。
この基調講演を基に、西原正理事長の司会の下、折木良一氏(元統合幕僚長)、德地秀士氏(元防衛審議官)、神谷万丈氏(防衛大学校教授)がパネル発表を行い、ディスカッションを行ないました。折木氏は、「安全保障環境の変化を踏まえた国家安全保障戦略の改正が必要であると主張するとともに、防衛計画大綱の上位概念となる防衛戦略の策定と、日本が特に遅れている宇宙・サイバーなどの先端科学技術へ人員・予算を拡充するべきである」と主張しました。
德地氏は、昨今の東アジア情勢に基づいて、日本が取るべき外交・防衛戦略について言及し、「日本が進めているインド太平洋戦略をより軍事面、経済面における枠組みを具体化し、特に台湾とのパートナーシップを深めるべきである」と主張しました。神谷氏は、両氏の主張を踏まえ「日本はトランプ政権の政策変更によって、米国の東アジアへの関与が低下するというシナリオにも備えるべきであり、米国とともにリベラル体制のリーダーとしてより積極的にアジア地域の平和に関与するべきだ」と主張しました。
※当セミナーの講演・パネル発表の内容は、各登壇者の所属先の見解を代表するものではありません。
●レセプション
シンポジウム終了後、創立40周年記念を祝うレセプションを開催しました。レセプションには、研究所が日頃からご支援・ご協力を頂いております団体の皆様の他、研究所の法人会員、個人会員、研究所が1984年から実施している奨学プログラム(安全保障分野の研究者育成プログラム)の出身者など多数の皆様に参加して頂きました。ご祝辞は元防衛事務次官の秋山昌廣様に御祝辞を頂き、乾杯のご発声は株式会社IHI特別顧問で評議員長の伊藤源嗣様にお願いいたしました。その後、スライドを使用して、研究所40年の歩み、特に研究成果や人材育成等について振り返りました。弊研究所が設立された1970年代当時、大学では安全保障研究はほとんど行われていませんでした。独立したシンクタンクである弊研究所は、安全保障のマインドを持った人材を育て、多くの研究者・実務者を輩出してきました。次の50周年に向け、日本における安全保障に係る調査研究や人材育成のための新たなスタートをきる場となりました。
今回のシンポジウム・レセプションには、政府関係者、外交・安全保障分野の有識者や実務家、弊研究所の会員、一般の人など多くの方に参加して頂き、研究所創立40周年の節目を祝うことができました。この場を借りて心より感謝申し上げます。引き続き、研究所は、調査研究、政策提言、イベント、人材育成、安全保障に関する知識の普及により我が国の独立と安全に寄与してまいりたいと存じますので、皆様のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
参考情報
「平和・安全保障研究所 創立40周年記念行事」
日 時 | 2018年10月18日(木)14:00~20:00 |
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時 程 |
■創立40周年記念シンポジウム 15:00~18:00 西原 正(平和・安全保障研究所理事長) 【基調講演】 【パネルディカッション】 【閉会の挨拶】閉会の挨拶 ■創立40周年記念レセプション 18:15~20:00 |
会 場 | グランドヒル市ヶ谷 |